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演じることが変身を促す
人間が変身するのに最も効果的な手段は、「変身した自分を演じる」ということである。
健康になりたい者は、健康になった自分をできるだけ具体的にイメージする。
強くなりたい者は、強くなった自分をできるだけ具体的にイメージする。
歌手になりたい者は、歌手になったイメージを作り、大きなステージで歌う自分を想像し、イメージして歌を歌う。
そういうことを日常的に繰り返し、自己暗示をかけ続けると、不思議なことに、人間はそのイメージにだんだん近づいていく。
もちろんイメージしただけで勝手にそうなるわけではないが、具体的なイメージを作ってそれに成りきれば成りきるほど、自分に何が足りなくて、次に何を用意すればよいか何を学べばよいかが見えてくる。
「写し身」をすることによって、それまでただぼんやりと考えていた自分の変身したい姿が、より具体的に、より実現可能なモノとしてイメージできるようになるわけである。
また人間以外のモノを演じるということも、変身に大きな効果がある。
演劇や舞踏には、水や火を表現するというモノがあるそうだが、たとえば身体が水であるとイメージして動くと、従来より動作がなめらかになるし、身体が火であるとイメージして動くと動作が激しくなる。
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また自分が熊であるとイメージして振る舞うと、気弱な人間も一時的だが強気の人間と張り合うことができたりするし、自分が空気であるとイメージすると困難をやり過ごせたりする。
中国武術などでは門派にもよるが、技の名前に動物の動作が付いていることが多い。
たとえば「鶴が羽ばたく」とか「馬のたてがみを左右に分ける」という感じだが、「両手を上に挙げておろす」とか「両手を左右に水平に開く」という動作名より、動物の動作を技名にした方がイメージを作りやすく、動作もなめらかになり上達には有益だ。
もちろん熊や蛇や虎などという動物になったつもりで使う技というのもあって、それは前述したとおり、一時的に巨大な能力を発揮するためのものである。
そう言う稽古は終わると非常に消耗する。
だがそういうトレーニングを行うことによって、実際にそういう行動が徐々にできるように身体と心が変わっていくのである。