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顧客満足度のウソ
顧客満足度という指標がある。
英語でカスタマー・サティスファクションだから、よくCSなんて略される。
だがこれほどよく分からない指標はない。
満足なんて欲望の一種だから、際限があるのかどうかも分からないし、お客さんに100点満点で点数を付けてもらったからどうだというのだろう?スーパーや小売りのチェーン店で、「お客様の声をお聞かせ下さい」なんてやっているが、果たしてそれで経営を抜本的に変えるような何か重要な情報が得られるのだろうか?
商品の質はどうですか?(良い・まあ良い・普通・少し悪い・悪い)品揃えはどうでしたか?(良い・まあ良い・普通・少し悪い・悪い)店員の態度はどうでしたか?(良い・まあ良い・普通・少し悪い・悪い)店内の雰囲気はどうでしたか?(良い・まあ良い・普通・少し悪い・悪い)その他、何かお気になったことをお書き下さい()
私が以前バイトしていたスーパーでも、新入社員が新人研修の一環で、六月ころに店頭でお客さんを捕まえてアンケートを採っていたが、果たして何か分かったのかいつも疑問だった。
このようなアンケートから出てくるのは、
- 「商品の質をお客様は普通だと思っている」
- 「品揃えは少し悪いと思っている」
- 「店員の態度は少し悪い」
- 「店内の雰囲気はまあまあ良い」
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地道にクレーム対応を続けていた方がマシ。
これならクレームを解決することを、地道にやっていった方がはるかにマシだ。
このような方法では、その店や企業の何が気に入ってお客さんがついているのかまるで分からない。
またこれからその店や企業が、どういう方向に事業を展開すべきなのかという問題も分からない。
たとえばアンケートで店の雰囲気が悪いとわかっても、具体的になにがどうかなんてなかなか分からない。
雰囲気の良いお店を選んでいる顧客はそもそもその店には来ないし、顧客がどんな雰囲気を望んでいるのかもよく分からない。
企業の通信簿はとどのつまり、グッド・ユーザーやグッド・カスタマーの数や、彼らから受ける安定的な利益であり、アンケートの結果ではない。
顧客が「実際に何を買い、どのようなサービスを利用するのか」という消費動向自体が一つの成績表である。
顧客満足度を調査すること自体、殆ど利益がないと考えるべきであろう。