顕在型マス・カスタマイズ

顧客我慢の第三のタイプは、「機能は十分だが形や提供のされ方がダメ」というタイプの我慢である。

 

たとえば結婚前の男性が、婚約相手の女性に婚約指輪を渡すような場合、ただドンと目の前におく場合と、何かの演出があったような場合では、受け取る女性の満足度は異なる。

 

いくら指輪の価格が高くても、それを郵送で送るなんてことをしたら婚約破棄されかねない。

 

そういう風なオファーが顧客に我慢を強いるわけだ。

 

モノが溢れている現代では、機能が十分なくらいではモノは売れない。

 

顧客はありふれたモノでも、TPOに合ったパッケージや提供のされ方を要求しているのである。

 

たとえば日本では大きな冷蔵庫で有名なアメリカのワールプール社は、顧客が必要としている商品をひとまとめにして、指定された時刻に指定された場所に配送するサービスを行っている。

 

顧客が複数の商品を注文した場合、それを全部一どきに配達するのは難しい。

 

クーラーなどの設置作業が必要な商品と、掃除機や冷蔵庫などの配達日は別になったりする。

 

だが顧客はなるべく一どきに配達して設置して欲しい。

 

なんとなれば指定された日の指定された時刻に、荷物を受け取るために自宅で待たなければならないからである。

 


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顕在型マス・カスタマイズとは?

テレビショッピングやインターネットでの通販が、経済全体でどのくらいのシェアになるだろうかというような議論で、よく問題になるのが配達の問題である。

 

ネット・スーパーや夕食材料の配達サービスは、誰か家でそれを受け取る者がいなければ、大きなシェアを占めることはできない。

 

お手伝いさんを雇っているような金持ちはともかく、商品を受け取るために家に釘付けにならなければならないようなサービスは、実は大したシェアを占められないハズだということである。

 

事実、実験的に開始されたネット・スーパーは、殆どが失敗していたから、なかなか難しかったのだ。

 

これは機能は十分だが形や提供のされ方がダメ、と言うことなのかも知れない。

 

なのでワールプールは指定された日の指定された時刻に、購入された電化商品などの配送と工事を一緒に行うサービスを始めた。

 

それだけではなく他の隣人達に見せびらかすように配送したり、あるいは普通配達を行わないような時刻、(たとえば朝早くや夜遅く)にも配送することも可能にした。

 

名古屋地方では婚礼家具を、シースルーのトラックで新居まで運ぶのが当たり前だそうだが、そう言う風な配送の仕方をする。

 

顧客はそうして物やサービスの提供方法にも、要望があり、こだわりがあるのである。

 

また最近は配送コストが安くなり、スーパーに出かけるのが面倒になった高齢者世帯や、幼い子供を持って思うように出かけられなくなった子育て世帯で、スーパーの配送サービスも利用が広まり始めた。

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