消費はGDPのおよそ三分の二を占める。 消費がなければ生産はないわけであるから、消費を分析することは経済にとって非常に重要な項目となる。 ここまでは消費を可処分所得{Y-T}の関数C(Y-T)として仮定し、可処分所得が大きければ消費は増えると言う順相関関係にあるものと考えてきた。 だが経済学がこのように消費関数をおおざっぱな分析ですませて来たわけではない。 消費関数がどのようなモノとして考えられ...
消費記事一覧
人々はのべつまくなしに消費をするわけではない。 限られた収入のうちから、○○にはいくら、××にはいくら、、、と予算をたてて消費を行う。 もちろん他人からみて「?」という消費を行う者もたくさんいるだろうが、しかしたいていの人はそうして自分の収入という予算によって、消費を制約されている。これを「(消費の)予算制約」という。 そして人々が自分の収入のうち、いくらを消費に回し、そしていくらを貯蓄や投資に...
人々は消費を収入のうちから行う。つまり消費は収入によって制約を受ける。 だがそれは現時点の収入によって制約を受けるのではない。 将来の見込みを想定してどの程度を消費に回し、どの程度を貯蓄や投資に回すかを決める。 そしてなるべく人生の「満足度」を高めるような配分になるようそれを行う(と予想する)。 たとえば人生の前半を第1期、後半を第2期とし、収入と消費を考える。 前期の収入がY1、消費がC1、後...
前期にC1、後期にC2だけの消費を行った場合の「効用(ユーティリティ)」について考える。 効用Uというのは要するに「満足度」であるが、これは前期の消費C1の効用関数であるU(C1)と後期の消費C2の効用関数であるU(C2)との合計になる。 ∴ U = U(C1) + U(C2) この効用曲線は「無差別曲線」の集合となる。 人々はこの「人生の効用」を大きくする方向で消費を行うモノと仮定すると...
さて、人生を前期と後期に分けるのなら、その途中で利子率が変化するのは避けられない。 江戸時代の中期じゃあるまいし、実質利子率が変化しないなんて現代では考えられない。 では利子率が変化する場合、人々は消費行動をどう変えるのだろうか? ここではまず前期の貯蓄Sが正の場合、つまり人生の前半で貯蓄をし、後期でそれを使うというパターンを考える。●利子率rが上昇する場合:------------------...
人が自らの人生について考え、それによって消費性向(収入のいくらを消費に回し、いくらを貯蓄に回すか)を決めると仮定すると、ライフサイクルが大きな問題になってくる。 たとえば60歳で定年退職するとすると、61歳からは収入が大きく落ちることになるが、生活はそんなに大きく落とせない。 だから退職後もそこそこの生活ができるように人々は消費を控え、貯蓄を行うだろう。 では働いているウチに金を貯め、それを退職...
アービング・フィッシャー、モジリアーニにつづき、1957年ミルトン・フリードマンは、恒常所得仮説を提出した。 ケインズが消費者の消費行動を「現在所得」によるものと考え、フィッシャーやモジリアーニが「現在所得」と「将来所得見込み」の二つによって決まるモノと考えたのとは異なり、フリードマンは「所得の固定部分」と「所得の変動部分」の二つによって決まると考えた。 つまり消費者は定収入と臨時収入のバランス...
ミルトン・フリードマンは、消費者が定収入と臨時収入のバランスによって貯蓄を増やしたり減らしたりするのだ、とした。 これを「フリードマンの恒常所得仮説」という。 たとえば農家のように毎年の気候に応じて収入が天と地ほども変わってしまうような家計であれば、当然保険料や貯蓄に回す金が増えるだろう。 そして一方公務員のような月給もボーナス(期末手当)も決まった額をもらえる職業であれば、貯蓄を増やす必要はあ...